【らふっと♪】小説で解説vol.5 <プライベートの過ごし方が、人としてのバランスを作る>

◆第8章:マリ——諦めた夢の灯火

■気にかかる社員

マリ(29)は、会社の中でいつも静かだった。 仕事は丁寧で、ミスも少ない。

誰にでも優しく、気遣いができる。

だが—— どこか影があった。

昼休みも一人で過ごし、 飲み会や会社のイベントごとには、全く参加しなかった。

社長は、そんなマリを見て思った。

(この子は、誰かがそっと背中を押してくれるのを待っているのではないか?)

仕事はできる。 でも、心を閉ざしている。 誰にも頼れない。

誰にも弱さを見せられない。最低限しか話さない。

社長は、【らふっと】を導入した理由のひとつに、

「マリのような社員の背中をそっと押したい」という想いがあった。

■諦めた夢

マリには、誰にも言っていない過去があった。

子どもの頃—— アイドルになりたかった。

テレビの前で踊り、 鏡の前で歌い、 ステージに立つ自分を想像して

胸を高鳴らせていた。

だが、 「そんなの無理よ」 「あなたはそういうタイプじゃない」

「現実を見なさい」「それでは食べていけない」

周囲の言葉に、夢は少しずつ潰され、そして地の底に消えていった。

マリは、 自分は<輝いてはいけない人間>だと信じるようになった。


■たった一度の人生だから

【らふっと】のページを開いたとき、 マリの指が止まった。

「アイドルサークル——誰でもアイドルになれる」

胸がドクンと跳ねた。

(……誰でも?)

ページには、 自主アイドル活動の写真が並んでいた。

みんなで練習し、 自分たちでステージを作り、 自分たちでコンサートを開く。

そこには、 見た目も、年齢も、経験も関係ない世界があった。

ただ、 「やってみたい」という気持ちだけがあればいい。

マリは、画面を見つめながら震えた。

(……趣味でアイドルをやるなんて、考えたこともなかった。

やりたい、という気持ちだけあればいいんだ。

いつもとは、違う自分になれるんだ。それって、とても素敵…)

でも、怖かった。 自信がなかった。

また笑われるかもしれない。 また否定されるかもしれない。

それでも—— 胸の奥の小さな灯りは消えなかった。

(人生は、たった一度。やらずに諦めていいの?

何かに夢中になれる人をずっとうらやましく思っていた。

私も、そうなれるのかな。 きっと、自分次第なんだ。

やるか、やらないか、それだけなんだ。

一週間の中で、数時間でいい。

自分の気持ちに正直に生きてみよう。)

マリは、すっと背筋を伸ばし<参加>を押した。

■踏み出した一歩

スタジオの扉を開けると、 明るい声が響いた。

「初めての方ですか?ようこそ!来てくれたんですね。嬉しいです。」

マリは緊張で固まった。 だが、誰も彼女を見下さなかった。

誰も評価しなかった。 ただ、同じように夢を持つ仲間がいた。

20~60代の人たちが、共に練習に励んでいるという。

レッスンは楽ではなかった。

振り付けは覚えられないし、 歌は震え、 ステップは何度もつまずいた。

でも、誰もマリを否定しなかった。

「大丈夫だよ、ゆっくりでいいから」

「みんな、素人。だけど、輝きたいという気持ちだけでやってるの笑!

全て、楽しめばいいのよ。あなたは、アイドルなのだから!」

その言葉が、 マリの心と身体を少しずつほどいていった。

■輝きを放つ

数ヶ月後。 マリは、ステージの上に立っていた。

ライトが当たり、 音楽が流れ、 観客が拍手を送る。

マリは歌った。 踊った。 笑った。ぶりっこした。

その姿は、 子どもの頃に夢見た<アイドル>そのものだった。

客席のど真ん中には、加藤がいて、「マリ――!!!!」と叫んでいる。

そして、 マリの会社の社長も観客席にいた。

(背中を押したいと思った子が、こんなに輝くなんて)

社長は胸が熱くなった。

■挑戦のその先

ステージが終わったあと、 マリは控室で汗をぬぐった。

「……私、できたんだ」

誰でもアイドルになれる。 その言葉は嘘ではなかった。

マリは、 自分が<輝いてもいい人間>だと、 初めて心から思えた。

それは、自分が決める事だった。周りが決める事ではなかったんだ。

「マリ、私、やったよ。ちゃんと、アイドルになったよ。」

マリは、心の中でずっと願望を押し殺して

小さくなっていた幼い自分に伝えるように

自分の心を、ぎゅっと抱きしめた。

マリの涙が、幼い頃の自分にキラキラと降り注いだ。

◆第9章:社長——沈みゆく会社に風穴を開ける

■覇気のない職場

社長・大崎(52)は、毎朝オフィスを歩くたびに胸が重くなっていた。

社員は真面目だ。 仕事は丁寧だ。 ミスも少ない。

だが—— 覇気がない。

誰も挑戦しない。 誰も新しいことを言い出さない。

打たれることを恐れ、めんどくさがり、杭も出てこない。

(このままでは、会社は停滞し、ゆっくりと沈んでいく)

大崎は、静かな危機感を抱いていた。

■価値観の偏りと停滞感

「効率と無難がすべて」「仕事は適当に済ませて、早く帰りたい」

「ミスをしないことが正義」 「余計なことはしないほうがいい」「現状維持」

その空気は、 新しい風を拒み、 挑戦を拒み、 人間らしさを奪っていった。

AI時代に突入し、 差別化が難しくなる中で、 この停滞感は致命的だった。

(人間らしさがなければ、差別化できるわけがない。

挑戦のその先に、進歩がある。希望がある。

毎日がデジタル完結する昨今、

生身で挑戦する経験が、圧倒的に足りないのだろう。)

大崎は、強い危機感を抱いていた。

■風穴を開ける

ある日、大崎はふと思った。

(変化を起こさなければ、風穴は開かない)

効率化でも、制度改革でもない。

もっと根本的な、 <人の心>に働きかける何かが必要だった。

そんな折、 妻がボランティア先で【らふっと】経由で

ボランティアに来たという人と出会った。

想いの詰まった福利厚生サービスだった。

【人生は、人との思い出で紡がれる】

【会社が入り口を作ることで、人と関わるきっかけを届ける】

【プライベートの過ごし方が、人としてのバランスを作る】

【人は、人と関わる中で磨かれる】

その言葉を見た瞬間、 大崎の胸に火がついた。

(これだ。これしかない)

ものは試しだ。私から挑戦しないと。

風穴を開けるために、 大崎は【らふっと】の導入を決めた。

■気にかかる社員

導入を決めた理由のひとつに、

大崎には<そっと背中を押したい社員>がいた。

マリ。

仕事は丁寧で、誰にでも優しい。

だが、いつも一人で昼食をとり、 飲み会などの会社のイベントには全く参加しなかった。

だがなぜか、彼女の中に、固く閉ざされた炎を感じていた。

まるで、20代の頃の自分を見ているようだった。

(この子は、誰かがそっと背中を押してくれるのを待っているのではないか?)

大崎は、マリのような社員の背中をそっと押したかった。

彼女のような人が、 静かに孤独になっていくのを見たくなかった。

■挑戦のその先

【らふっと】導入後、 大崎は驚くべき変化を目にした。

マリが、ライブをやると、チケットを渡してきたのだ。

「社長のおかげです。ぜひ、ライブに来て下さい。」

と。

聞けば、【らふっと】経由でアイドルサークルに参加したというのだ。

引っ込み思案で、 自分に自信がなく、 人前に立つことなど考えられなかった彼女が。

信じられなかった。

 アイドルサークルは「誰でもアイドルになれる」場所だった。

自主練習をし、 仲間と励まし合い、 自分たちでステージを作り、 自分たちでコンサートを開く。

マリは、 その主体的な活動の中で少しずつ変わっていった。

・声が大きくなった ・表情が明るくなった ・見た目が華やかになった

・人と話すときに目を合わせるようになった ・自分の意見を言えるようになった

・「自分らしさ」を出しているようだった

大崎は、その変化を見て胸が熱くなった。

(自分の人生を自分で切り開いている人がいる。挑戦している人がいる。

世の中には、面白い人、すごい人がたくさんいる。

そして、自分次第で自分もそちら側の人になれる。その事に、気付いたのだろう。)

■会社全体の変化

マリは、自分の活動をオープンにするようになった。

マリの変化は、 会社全体に静かに波紋を広げ、らふっとを活用する人が増えた。

・社員同士の前向きな会話が増えた ・笑顔が増えた ・挑戦する人が増えた

・「やってみよう」という空気が生まれた

大崎は、ある日ふと気づいた。

(会社が、少しずつ息を吹き返している)

【らふっと】は、 ただの福利厚生ではなかった。

主体的な活動をしている多くの人の力を借りて

人の心を動かし、 会社を再生する装置だった。

■社長の独白

夜のオフィスで、 大崎はひとり窓の外を見つめた。

(変化を求めてよかった。  

風穴は、確かに開いた。人は人と関わる中で磨かれる。

そして、ひとりの変化から、会社の変化は始まる。)

サイン入りのマリとのツーショット写真を見て、 ふっと笑った。

自分まで、マリと同じポーズをして楽しそうに写真に写っている。

自己肯定感が上がったマリの会社での活躍は、目を見張るものだった。

「一週間のうちで数時間でも、自分の気持ちに正直になれる時間を作る。

その大切さに気付いたんです。たった一度の人生ですから(笑)」

マリは、スイッチが入った時の事を振り返り、そう語った。

マリはあの日、心の奥底に封印していた幼き日の夢を解放した。

「前向きな活動をする人たちとの関わり」によって、

マリのエネルギーは枯渇する事がなかった。

マリの、ワクワクした日々は、その後も継続している。

(背中を押したいと思った子が、ここまで輝くなんて。

人を巻き込んでいくなんて。出会いの化学反応というのは、面白いものだな。)

【人は人との関わりの中で磨かれる。】

【会社が入り口を作ることで、人と関わるきっかけを届ける】

【プライベートの過ごし方が、人としてのバランスを作る】


大崎は、 会社の未来に起業したての時のようなワクワクを感じていた。

「私も、何かに挑戦するか。今までの経験を生かして?それとも、新しい自分を発見する?

この件に関しては、稟議不要。自分の決断次第だ。」


可能性は、無限大だった。

  • URLをコピーしました!
目次